2011/06/24

「ケミストリー」について


(※以下は昨年末、別のブログに書いた記事の採録です)

今日、大みそかの早朝に
お風呂に入っていたら
なぜだか「Chemistry」について
考えが浮かんできたので
書いておこうと思います


といっても
J-Popの「ケミストリー」のことでは
ないので
お気をつけください


20年以上も前のこと
ニューヨークで英語を勉強していたころ
「Chemistry=化学」という言葉に
「相性」という意味があることに
気づきました


「オレ、あいつとはどうも話が合わないんだよね」
「それって相性の問題でしょ」
というような場合


"Don't worry, it's just chemistry."
という感じで使われていました


それから20年以上がたち
先日、中学の化学の教科書を
読む機会がありまして
「合金」というものを学びました


ある物質に別の物質を化合させると
元の物質が固くなったり
曲がりやすくなったり
するというのです


これを読んで
人間にもこういうことはあるな~
と、そのとき、思ったのです


私は非常に優柔不断で
判断の遅い人間なのですが


ある友人といっしょだと
ものすごく意志堅固で
判断力のある人格になれるのです
(客観的にどうかは別にして…)


これは私と彼との Chemistry
がいい感じに働いてる
せいではないでしょうか


「私」という元素に
「彼」という別の元素を加えると
「私」の性質が変化して
別の「私」が生まれるのです


これはまあ仕事上の話ですが
恋愛でもしこうした Chemistry が働く
ような相性をもつカップルは幸せですね


「Chemistry=化学」は
あるものとあるものをかけ合わせて
金を創り出そうとした
錬金術から発達したのだと
聞いたことがありますが


もし「人」と「人」をかけ合わせて
かけがえのない別の人格=金
が、できあがるのであれば
これもまた錬金術といえるでしょう


そうなったときには
Chemistry=相性は
Alchemy=錬金術となるのです


宗教や哲学などは
いわばそうした alchemy のための
教科書なのではないか


と大みそかの
早朝のお風呂で
思った次第です


今年ももうおしまい
来年はどんな年になるのやら。




行間を読む?


よく、頼まれた仕事の延長で
契約や事業計画にかかわる英文メールを見せられて
相手の言葉の意味を
訊かれることがあります。

たいていの方が
「これってどんな意味なの?」
とおっしゃいます。


翻訳してほしいわけではなくて
「相手の真意を知りたい」
ということですね。


そこでその英文メールを
トランスクリーションするわけです。


そのときよく思うのは
メールの中に書かれていないことが
言外に書かれていることがある
ということです。


文学などでは「行間を読む」というのがありますし
バラエティや友達関係では「空気を読む」というのがありますよね。

しかしそれを翻訳でやっていいのかという問題があります。

「行間」や「空気」は目に見えないので
それを「訳す」には翻訳者の「想像力」が必要ですが
その「想像=解釈」が正しいかどうかは「?」です。


ただ、読書のプロは「行間」を正確に読み
お笑い芸人は絶妙のタイミングで「空気」を読んで
会場の笑いを誘いだします。


ということで、翻訳にも「行間を訳す」ということが
あっていいはずだとぼくは思っています。


「あいつはオバQみたいなやつだ」という原文が
「His head is almost bold. (あたまに毛が3本)」とか
「He is always scared of dogs. (犬がこわい)」という訳に
なることがあるというわけです。


これはかなりリスキーな「翻訳」だといえますが
技術と経験を磨けば
正解を導き出すことは不可能ではありません。


仏像彫りは仏様を彫るのではなく
もともとそこにいる仏様を彫りだすだけだ
というような話をどこかで読んだことがあリます。


トランスクリエーションもそうありたいですね。


文字に書かれていない「意味」を訳し出す。
自動翻訳がどんなに進化しても
そればっかりは無理でしょう。


それともいつか
ロボットが「空気」を読み
会場を笑わせる時代が
やってくるのでしょうか?